ハノイからラオスへ

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ベトナムの最終日、僕は町中をふらふらと歩き、バスの出発を待った。バイバイ。笑わない国、ベトナム。

次に向かうは、ラオス。正直、ラオスのイメージは殆ど無い。世界地図でどこあるのすら怪しい。数年前に訪れた、ミャンマーに似たような東南アジアの中でも観光地としては、どちらかと言えばマイナーで、素朴な人がいるという印象。

そして、恵比寿ハウスの「けんいち」が象使いの資格を取りに訪れた場所。なんでも象使いというのは、国際免許らしい。ただ、日本のどの場所でも使う所は無いと思うが、彼が目を輝かせて「僕は象使い」と言っていたのが、懐かしい。ラオス北部にある、ルアンパバーンを目指した。この街の名前の響きが面白く、それだけで向かう気になった。街の名前も少しは重要なのかもしれない。

ハノイの国際バスステーションへ向かうミニバスの中には人で溢れ返り、立ちの人がでる程混合う。ラオスは案外人気なのか?

「どこから来たんだ?」
「日本だよ」
「ムラカミって知ってるか?」
どちらの村上さんが存知上げないが、
「作家の?」
「そうだ。ハルキ ムラカミ。彼の小説が好きだ」
とドイツ人に話しかけられる。

丁度、彼の処女作「風の歌を聴け」を持っていたので、カバンの中から取り出し、見せるととても嬉しそうな目をしていた。海外でも翻訳されていると聞いていたが、実際に海外で読んでいる人を初めて見た。その後、ラオスの雑貨屋でもHaruki Murakamiを何冊か見かけた。やはり、母国のものを海外で見かけてたり、ほめられたりするのは嬉しい。

寝台バスに乗り込んだ。時刻は夜20時頃。これから、24時間程バスに揺られるらしい。長いと思いつつ、目を閉じる。

朝、起床しベトナムとラオスのイミグレーションに到着。
パスポートを回収され、直ぐに返却された。顔の確認等全くなかったが良かったのだろうか。非常に簡易。
「ビザが無いから、15日以内で出てね」
他の国の人はビザの申請等をしており、1時間程バスで待機。

バスは、山中を走り続けた。ずっと変わらぬ景色と変わらぬバスのエンジン音。時々、進んでいるの戻っているのか分からなくなる程。時々古い民家がぽつりぽつりと見える。木と藁で出来たような、古代日本の家のよう。
バスの中では、南アメリカ出身の人達が和気あいあいとしている。輪に入りたいが、スペイン語で「オラ」しか知らない僕は、持ってきたKindleを静かに開く。中々快適。

一度の昼休憩以外、ほぼノンストップ。太陽が沈みかけて来た、6時頃。
バスが止まった。辺りには、何もない。僕らは、みんな一度バスを降りた。運転手が激しく叫んでいる。何を言っているか分からないが、何か確実に怒っている。そして、静かにエンジンが止まった。

乗客の僕らは暢気にみなで写真撮影なんかをして楽しんでいるが、運転手、現地の乗客はバスの鉄板をはがし、整備・修理を必死でする。彼らがバスの後ろから必死に押し、エンジンが久しぶりに鳴る。こんなバスにあとどれくらい乗ればいいのか。少しの不安と恐怖。

危惧していた通り、到着予定時刻の20時頃。まだ、山の中を走り続けている。さすがに、南アメリカ出身の方々も疲労困憊。23時。再度、バスストップ&修理。勘弁して下さい。そして、運転ドライバーまた何か叫んで怒っている。怒りたいのは、僕らの方だ。
そして、深夜2時頃、みなが寝静まったルアンパバーンに到着した。30時間超の長旅。疲労から、到着の歓声すら上がらない。

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」

この超長時間のバス旅で完璧な絶望について思いを巡らせたよ、春樹さん。


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