たこ焼き_ハノイ

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ハノイの中心地にある、湖の近くで僕らは待ち合わせ。
全身金色のタイツを来て彼は現れた。
彼の名前は、森田松之助。たこ焼き職人である。

世界一周団体TABIPPOが主催する世界一周コンテストの2013年の覇者。
「世界中、たこ焼きを通じて幸せにするねん」
学生の時から、たこ焼きで起業して、人生たこ焼きの彼のプレゼンは2000人の心を掴み、世界への切符を手にした。

それから、約半年後。彼は、世界へと旅立った。

一週間ずっと降っていた雨が止んだ。
彼は、ベトナム在住の友人「たか」と一緒にいた。学生時代のコンビらしい。

「うわ。めっちゃ荷物多いやんけ。宿に荷物置いてこうへんかったん?
これから、たこ買いに行かないけへんから、ここでちょいと待っててー。」

宿から全ての荷物を持ってきた僕は、バックを置き彼らの買い出しを待つ。
海外でたこ焼きをするのは、勿論僕は初めてなので、胸が高鳴る。

バックの中から、鉄板を出し、カセットコンロの上にセット。
水とモンゴルから買って来た小麦粉を混ぜる。

「このモンゴルの粉が美味しいねん」

嬉しそうに語る、松之助。

熱くなった鉄板に油をしみ込ませ、たこ焼きのもとを入れる。
しばらくすると、美味しそうな音が広がる。

2本の楊枝を握る。
たこ焼きを返す。
くるり、くるりと、鮮やかに回る。
奇麗な黄金色が現れ、
香ばしい匂いが広がる。

ふと、見上げると回りに20人くらいの人だかりが出来ていた。
たこ焼きの威力絶大。

「これ何?」
「日本の有名な料理でたこ焼きって言うんだ。大阪って分かる?中にはたこが入っていて、外はさくっと中はトロトロしていて非常に美味しいよ」

おばあさんから、家族連れの子供までみんな物珍しそうに眺めている。

「出来たでー」

紙コップにたこ焼きを入れて、配る。

みんな不思議なものを見るようにコップを握り、爪楊枝でたこ焼きを差す。そして、口に入れる。

「美味しい!」

「そやろそやろー!」

出来あがったたこ焼きは直ぐに無くなった。
たこ焼きのもとがなくなるまで焼き続けた。

正直、こんなに多くの人が集まると思わなかった。
これ程、現地の人が嬉しそうに興味を持ってくれて、たこ焼きを食べている姿は純粋に嬉しかった。
彼のたこ焼きはこのベトナムで、人々を笑顔にしていた。

ベトナムに来て、雨が続いていて、街の雰囲気は暗く、人は笑わない。
これが、最初のベトナムの印象。

ただ、この日、このたこ焼きを焼いている瞬間、食べている瞬間、みな白い歯を見せながら、笑っていたのが非常に印象的だった。

現地の人が何を話しているのかは分からないが、ただ、楽しそうにしていたというのだけは分かる。

「ベトナムは、ほんまに大盛況やったわ」

彼の語る夢を僕は少し覗けた。

ありがとう、松之助。


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