バンビエン_ラオス

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6時間程走り到着した。バンビエンの街は大雨だった。運が無いと思いながら、仕方なく近くのお店で雨宿りをしていたのだが、30分程立っても変わらず激しい雨が続く。屋根から落ちる雨の量が多く、目の前が小さな川のようにり、一方向に流れ出す。気温は、じとじとと暑い。一緒の屋根の下で待っているラオス人は、いつもの事さといったような猫が人間を見つめるような雰囲気で佇んでいる。この雨の中では歩けないので、近くにいたおっちゃんに、松之助から教えてもらった宿を知っているかを訪ねた。

しばらくすると、違う男がやってきて、モーターバイクの後ろに乗れとジェスチャーをする。近くにタクシーもいなかったので、僕は飛び乗った。目が開けられない程、雨は強く僕らを打った。前後に背負うバックパックが重く、モーターバイク上ではバランスが取りにくい。振り落とされないようにしっかりとバイクに掴まった。僕の不安をよそに、バイクの男は悪路悪天候の中、走り続ける。バイクが上下に激しく動きながら、車の間をすり抜けていく。

どれだけの雨を浴びたか分からない。ふと、静かにバイクのエンジンが止まった。

「めっちゃ雨に降られてとるやん」

宿の前でまた相変わらず、松之助に迎えられる。
ベトナムハノイからルアンパバーン、バンビエンと先に松之助が先に出発して、僕が後から追うように移動を続けていた。3度目の出会いでは、もうなんだか付き合い立てのカップルのような感覚に陥った。
濡れた荷物をカバンから取り出し、整理しながら雨が止むのを待った。
ここの宿にあるビリヤード台で松之助と韓国から来た旅人とゲームを行う。

中々、ゲームが終わらず、気がつくと雨は止んでいた。
僕らは、外に出た。
ルアンパバーンよりももっと田舎で、ずっと細い道が続いている。道端には、ゲストハウスとレストラン、そして、小さな屋台が並んでいる。雨があがり、皆外に出る準備を丁度始めている所のようだった。

松之助の行きつけという、お店に入る。Othersideレストラン。店には、壁が無く、外から入ってくる空気が気持ちいい。店の奥に、山が見える。真っ白な雲が山の上に乗っかり、中国の寓話を彷彿させる。久しぶりにカメラのシャッターを切った。陽気な店員が僕らにメニューを運んでくれる。お店が異常に縦長なので、僕らの席まで持ってくるまでに時間がかかる。僕らは、チキンサンドイッチを頼んだ。ここ、ラオスでは、もの凄くサンドイッチが安く美味しい。それが、一番の驚きだったかも知れない。昔、フランスがラオスを支配していた事に関係していそうである。サンドイッチばかり食べている僕らは、ラオスフードというのは、今だに何か分かっていない。お店のスタッフと「サバエディー」なんて挨拶をして握手をしたりして過ごす。とにかく、陽気なスタッフが多い。ビールを飲んでいるうちに日が暮れた。近くのJdi’sバーへと足を向け、飲み直す。

カウンターにいるのはJdi。この店の主である。年齢は40歳くらい。ちょい悪い顔をしている。良い味を出す、個性派俳優になれそうな雰囲気を持ち合わせている。

店に入りカウンターに座ると、Jidが僕らに口を開けて上を向けくれと言う。
何の事がよく分からないが、取りあえず口を開けた。
初めて入ったお店のカウンターで口を開けて上を向いたのは今まで無い。
そして、突然口の中に酒が注がれた。
僕らは‘やられたよ’なんて顔をして、彼はしてやってたりなんていう顔をしている。
こんな小粋な技でお客とのコミュニケーションを計ってくれるJidi。

最初の乾杯を済ませて暫くすると、隣にオーストラリアから来た女性2人が隣に座った。来て早々、何かJdiと会話していた。
暗闇の中で彼が深く笑った。

しばらくして、Jdiが彼女達に透明なビニール袋に入った何かを渡す。
そして、彼女らは静かにそれをズボンのポケットの中に入れる。
何かを。

隣に座っていた僕は、こっそりと彼女に聞いた。
「今の何?」

隣にいた女は、少し、はにかみながら僕を見た。
「マリファナ」

こっそり教えてくれた。

そう。このバンビエンという街は、ドラッグの街として海外では有名らしい。
勿論、ラオスでは違法である。

そして、この街にはハッピーシェイク、ハッピーピザと言われるのハッピー系の飲食物が存在する。驚く事に、マリファナをすり潰して、そのままシェイクに入れたり、ピザに入れたりするのだ。吸うのでは無く、直接食べる。とんだクレイジーな街である。彼女達は、店の奥に行って、マリファナを紙に巻き始めた。彼女らは、ただ吸うだけのようだ。あまいあの独特な香りが店内に充満する。彼女達は何事も無かったかのように、1本を吸い終わった後、店を出て行った。

この街は少し怪しい匂いがする。
平和な昼と怪しい夜を持つ街、バンビエン。
事件は、突然起こった。唐突に。


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